Description: 私たちは太陽がなければ生きていくことができません。しかし、私たちを日焼けという形で苦しめるのは、他でもない、その太陽でもあるのです。生存の条件であると同時に私たちを迫害もする太陽という存在に、日焼け止めはどの程度の抵抗が可能なのでしょうか。日焼け止めだけで太陽という不条理と闘うことには限界があると言わざるをえません。また、敏感肌の持ち主にとって、日焼け止めがお肌の大敵にもなりうるということは忘れてはならないでしょう。
カミュの 『異邦人』 のなかで、主人公であるムルソーが殺人の動機を 「太陽が眩しかったから」 と述べる場面は非常に有名ですが、 「殺人の動機」 としては不条理である 「太陽が眩しかったから」 という理由は、 「日焼け止めを使う理由」 としてはまったく条理に適っているといえるでしょう。
しかし、 「太陽が眩しかったから」 という一見すると完璧な理由だけでは、もしかすると、 「日焼け止めを使う理由」 としてはやや不十分であるのかもしれません。
というのも、 「日焼け」 という症状は、 「紫外線」 によってもたらされるのであって、 「紫外線」 は、なにも直射日光の眼に見える太陽が強く照りつけているときにだけ私たちの皮膚に降り注ぐのではないからです。