jcdhsg.com - 新生児先天性横隔膜ヘルニア研究グループ

Description: 新生児先天性横隔膜ヘルニア研究グループは15施設で小児呼吸器異常・低形成疾患に関する実態調査や診療ガイドラインの作成に取り組んでいます。

小児外科 (33) 九州大学 (21) 先天性疾患 (2) 新生児先天性横隔膜ヘルニア研究グループ (1) 小児呼吸器異常 (1) 低形成疾患 (1)

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胸とお腹は横隔膜という筋肉の膜で分けられています。横隔膜ヘルニアは、この横隔膜に欠損ができ、孔があく病気です。横隔膜に孔があいていると、お腹の中にあるはずの胃や小腸、大腸、脾臓、肝臓などの臓器が胸に入り込んで肺を圧迫します。圧迫された肺の発達が悪くなったり、出生後に呼吸困難や消化管の通過障害が生じたりします。

横隔膜ヘルニアには、生まれつき孔があいている先天性のもの(Congenital Diaphragmatic Hernia、CDH)と、交通事故などの外傷によって孔があく後天性のものがあります。先天性のものは、横隔膜の後方外側を中心に孔があいている胸腹裂孔ヘルニア(ボホダレク孔ヘルニア)と、前方内側に孔があいている胸骨後ヘルニアがあります。ほとんどはボホダレク孔ヘルニアで、そのうち90%は左側に発症します。病気の頻度は、日本の2011年の調査では約6000人に1人でした。先天性のものの多くは胎児期よりお腹の臓器が胸に入り込んでいますが、孔が小さいものは出生後に初めて症状がでることもあり、遅発性横隔膜ヘルニアと呼ばれます。

出生前からお腹の臓器が胸に入り込んでいるタイプは、妊娠中の超音波検査で羊水が多いことや、心臓や胃、肝臓の位置の異常などから出生前に診断されることが多くなっています。この場合はMRI検査などを追加して、胸に入り込んでいる臓器や圧迫されている肺の状態を詳しく調べることがあります。生まれたときの重症度(病気の重さの程度)はそれぞれ異なりますが、出生時に呼吸困難や血圧が下がるなどの症状が生じ、人工呼吸や血圧を保つための処置を要します。胎児期からお腹の臓器が胸に入り込んでいるお子さんでは、胸に入り込んだ臓器の圧迫によって両方の肺がうまく育たないこともあり、治療に大変難渋します。これら出生直後から、特に集中的に治療が必要な場合の救命率は80%程度です。一方で出生後に症状が出る遅発性のものは、呼吸障害が軽度だったり、腹痛など呼吸以外の症状が主だったり、中には偶然発見されるものもあります。