能楽ファンの皆様、コロナウィルスの流行により世界的に不自由な生活が続いております中、恙なくお過ごしのこととお祈り申し上げます。 今回の未曽有の事態には、能楽も大きな打撃を受け、その影響は数か月間舞台活動が消滅するという、災害や不況の折の事態とは較ぶべくもない甚大なものとなりました。 しかしそのような状況にあっても、私ども能楽師は700年の歩みを止めないよう、日々少しずつ公演再開への道を手探りで続けております。 この度、大槻文蔵先生、裕一様は、九月二十五日の東京公演を敢行して下さることとなりました。 不安定な世情を受け、会の開催には様々ご意見もあるかと存じます。けれども舞台は生きており、歩みを止めてしまえば、その命が失われるものです。 戦火の中、また災害の中、能の灯を消さずに守ってきた先人たちの志を受け継ぎ、次世代へ渡すために、感染予防には万全の注意を払って、一人でも多くのお客様のお越しをお待ちしております。
のうのう事務所 観世静子
「大槻文蔵 裕一の会」主宰 大槻裕一師より 先生方のお力添えを賜り「邯鄲」のシテを努めさせて頂きます。私の師父であります大槻文蔵の祖父、大槻十三と先代の観世喜之先生とは家も近くとても親しい間柄だったと小さい頃から聞いていました。 月日が流れ、この度、観世喜正さんとご令嬢様の和歌さんと御一緒に舞台に立たせて頂けることができてとても光栄でございます。 令しく平和な日々が戻ることを祈りながら舞台を努めさせて頂きます。