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里山福祉の研究 渡邉洋一
はじめに 私たちは、本邦の風土には古来の仕来りや習わしによる‘暮らし’を、仮に‘里山’の文化と呼ぶことにしました。このことは、地域社会の意識構造に里山の文化が根付いてきたと考えているからです。あわせて、本邦には歴史的に‘里山文化’が重層的に保持されてきているという立場をとることとしました。その理由は、最近、簡単にコミュニティという用語を使用し過ぎると考えてきたからです。さらに、地域福祉という用語に対しても過度に期待され過ぎていると認識したからです。しかも、地域福祉が過度に政策用語になってきたことが危惧されます。このような枠組みで、‘里山福祉’という用語について検討してみたいと思います。 第一として、里山という用語には、素朴な冠婚葬祭の饗宴があり、地域の風土に即して伝統食によって人と人の人間関係が整えられてきた歴史があります。また、農林水産の生業から得た食材を地域産業としてきた食による流通文化もあります。これを‘食’と整理してみました。また、第二として、里山の集落には、農林水産などの生業を継続することで暮らしを立ててきました。そこには、自給自足と地産地消による文化の暮らしの立て方だったといえます。さらに、